全国労働金庫労働組合連合会は、全国の労働金庫と関連会社に働くすべての労金労働者の生活と権利の向上、暮らしの安定、労働金庫事業の発展のために活動しています。
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全労金「オンライン学習会・その4」
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全労金「オンライン学習会・その4」
全労金「オンライン学習会」について
全労金「オンライン学習会」について
全労金は、2020年度執行方針で確認した単組役員会議(1月開催分)、並びに、組合学校(2月)について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況を受け、「中止」とすることを判断したことから、第6回中央執行委員会(2020年12月22日)では、これらの「中止」を踏まえ、WEBを活用したオンライン学習会を開催し、組合役員の教育機会の場とすることを確認しました。
2020年度の運動の基調では、「労働組合の社会的な役割発揮」を掲げており、役割発揮に向けて、様々な社会的な課題について、組合役員の教育機会の場、学習する場は重要であると考えています。現在、わたしたちの活動は、新型コロナウイルス感染症の影響により、様々な制限を受けていますが、今できることを考え、労働組合の社会的な役割発揮に向けて、取り組みを進めます。
オンライン学習会・その4(2021年4月8日)
オンライン学習会・その4(2021年4月8日)
第4回は、東京大学法学部准教授の前田健太郎氏を講師として、「政治分野における男女平等参画・ジェンダーの視点から民主主義を考え直す」をテーマに、全労金・単組役員等50名が参加して開催しました。
前田氏からは
、①政治を見る視点の重要性、②ジェンダー規範の働き、③民主主義とはなにか、④女性の過小代表の原因、⑤女性の過小代表の帰結、⑥労働組合への期待、等について講演を受けました。
冒頭、異なった視点でものの見え方が変わることの説明に使用したことで有名となったイラストや、日本の国会の様子を撮影した写真を紹介され、イラストも写真も人によって受け止めが様々であることを紹介されました。
①では、日本の政治の特徴として、「有権者の半数は女性だが、政治家の大半は男性」であることを挙げ、その状態をなぜ「民主主義」と呼べるのか投げかけがあり、男性の政治学者はジェンダーの視点が欠如していたことを挙げました。そのうえで、ジェンダーの視点(社会現象を捉える際に、性差を意識する)を導入すると、政治の見え方は変わると投げかけられました。
②では、「男性は男らしく、女性は女らしくしなければならない」とするジェンダー規範の働きは、社会規範の一種であり、法律に書かれているわけではないが、理念的にそれぞれの心の中に存在するものであり、違反すると社会的な制裁を受けるとされました。そして、法律との違いは、ジェンダー規範は、国家ではなく、社会による制裁を受け、人々は法律のことはよく知らなくても、家族や学校・メディアを通じて、社会規範を身につけていくとされました。そして、このジェンダー規範は、「男性に高い地位を付与し、女性には男性の補助を期待する」ものとして紹介されました。また、男性の「自分自身は差別していない」との感覚は、本当にそう思っているが、ただ、結果として、差別に繋がっていることに気付いていないことを指摘されました。次に、組織とジェンダー規範との関連を見た時に、問題点として、企業や議会の組織規範が求めるものが、「男らしさ」と重複している点について挙げられました。そのため、女性が組織規範に従うと、ジェンダー規範に違反し、ジェンダー化された組織は、女性がいない政治が「当然」となるとされました。
③では、民主主義の定義の変遷について触れ、政治学者の多くは男性であったことに触れたうえで、民主主義の最小定義である競争的な選挙(シュンペーター)について、19世紀のアメリカ・イギリスの体制に基づいた定義であり、女性参政権は除外されていたこと、すなわち、女性参政権は民主主義の要件ではなかったことを説明されました。また、アメリカから民主主義が始まったとするのは誤った認識であり、ある特定の視点からみた民主主義に過ぎないとされました。そのうえで、先発国としては、ニュージーランドが1893年に女性参政権を導入していることを紹介されました。また、21世紀の民主主義の世界的な傾向としては、女性と男性が対等に代表される政治体制であり、第3の民主化の波の中で日本は乗り遅れていることを説明されました。
④では、日本政治に対する見方として、政党システムの構造や、ジェンダーの視点がないことを挙げ、男性に権力が集中した国であり、これは、自民党だけの問題ではなく、政党一般の抱える問題であるとされました。また、日本の女性議員の少なさは、女性政治家に対する有権者の偏見の影響があり、日本の有権者は、データから見ても、女性への偏見は他国より強く、先進国の中でも一番差別意識が強い国であるとされました。ただし、そのことが投票行動に影響するかは定説がないことも説明されました。次に、女性議員が少ない要因として、候補者の男女比について挙げ、男性の候補者が圧倒的に多い中で、有権者は女性を選びたくても選べない現状があるとしました。また、政党が女性を擁立せず、その要因として地方議会が男性支配となっていることや、「世襲制」が挙げられました。さらに、選挙制度と政党を見た時に、1994年に導入された小選挙区制について、女性の政治家は反対したが、それは、男性優位の制度であることが理由であったと説明されました。議席・候補者を割り当てる、三種類のクオータ制については、1990年代以降、導入が進み、現在は130か国程度がいずれかの制度を導入している資料が示されました。
⑤では、争点(アジェンダ)を取り上げる際に、どの争点を取り上げるかは、議員の生活上の経験に依存していることから、男性ばかりの議会では、女性の視点が反映されないことが紹介されました。次に、男性が圧倒的に多い場の影響として、女性が発言しにくくなること(マンスプレイニング:女性を見下した態度、マンタラプション:女性の話しを遮ること)が紹介され、さらに、数の少なさから、一層影響力が低下し、争点を設定しにくくなることも紹介されました。そのうえで、日本政治の争点は、男性が設定した争点に集中しており、女性の側にはよく見えていて、男性には見えていないものがあるとしました。その点は、具体的な調査結果を示し、日本の民主主義の争点には歪みが生じている実態を明らかにしました。
⑥では、労働組合における男性優位について、日本の特徴として企業別組合が多い事、ジェンダー化された二重労働市場の影響を挙げました。また、権力資源論で考えると、日本の男性稼ぎ主モデルは、家長が養うことが前提であることを説明されました。そのうえで、日本の労働組合への期待として、普遍的に担い手になれるのか投げかけがあり、労働組合として、労働者の声を届けることは非常に重要であるとされました。
最後に、ジェンダー平等な社会への道として、「ジェンダーの主流化(ジェンダー・メインストリーミング)」「どのような問題についてもジェンダーの視点を入れること」とされました。さらに、「女性だけではなく、男性もジェンダーについて語れることが必要だ」との投げかけがあり、終了しました。
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