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全労金「第3回災害からの復興・再生集会」

 

全労金「第3回災害からの復興・再生集会」を開催しました!

全労金「第3回災害からの復興・再生集会」を開催しました!
 
 
 
 2019年3月16~17日、福島県福島市を拠点に「第3回災害からの復興・再生集会」を開催し、単組から14名、全労金四役6名、東北労組役員(青年部含む)11名をあわせて合計31名が参加しました。この集会は、第67回定期大会(2018年7月)で、「福島第一原子力発電所に関わる放射線被害が続いていることから、当面の間、福島県で開催する」ことを確認し、今回が3回目の集会となります。
 
 集会の内容は、①開会集会(ⅰ主催者代表挨拶、ⅱ地元単組・県支部挨拶、ⅲ事務局・参加者自己紹介、ⅳ行動提起、ⅴ東北労組役員からの報告)、②講演、③2019原発のない福島を!県民大集会(ⅰ実行委員長あいさつ、ⅱ特別ゲスト挨拶、ⅲ呼びかけ人の訴え、ⅳ県民からの訴え、ⅴ集会アピール採択)、④分散会、⑤被災地視察、でした。

 

 
 ①開会集会では、末留委員長から、「2日間の集会を通じて感じたことや、学んだことを、単組・家族・地域において拡げてほしい」等と挨拶しました。また、全労金は2016年度第7回中央執行委員会において「原発に対する考え方」を確認し、その後、学習資料を発行していることを紹介したうえで、基本スタンスで示した「『核』及び『原子力エネルギー』を使用するエネルギー政策からの転換に向けた社会的運動」の重要性についてふれました。
 その後、地元単組である東北労組の松﨑委員長より、震災当日の様子や、以降、福島県本部で勤務する中で支援物資を支店に届ける業務にあたっていたことが紹介されました。その中で、人との繋がりや、支援によりあたたかさを感じたこと、震災を忘れないことや、風化させない取り組みの重要性について挨拶を受けました。次に、福島県支部の関本支部委員長からは、震災当時の状況や、震災以降、県支部として何ができるのかを考え、全労金ボランティアには支部より毎回組合員を参加させてきたこと、また、福島県の現状として、帰還困難区域が次々と解除されているが、帰還するうえでの困難さや、県民大集会の3つの指標等について挨拶を受けました。
 参加者・事務局から自己紹介を受けた後、深見書記長から、集会の行動提起とあわせて、東日本大震災以降の全労金の取り組み経過を報告しました。
 東北労組の半澤書記次長、福島県支部の藤原支部副委員長から、南相馬ボランティアや、震災以降の状況について報告を受けました。特に原発事故により、自身の家に帰る際に許可がいることや、モニタリングポストの設置について議論をされていることが紹介されました。そのうえで、正しい情報を発信する重要性や、脱原発の運動について訴えられました。

 

 
 
 
 ②双葉地方平和フォーラム副議長であり、福島県教組双葉支部柴口正武支部長より、「福島第一原発事故に伴う被害状況・被災者の現状」と題した講演を受けました。柴口氏は現在も中学校の教員として勤務をしており、教育現場における被災者の状況、子どもたちがふるさとを忘れないために行っている総合学習についても紹介されました。また、震災の影響による教員の過酷な勤務実態についても報告を受けました。自身も被災者であり、浪江町にあった自宅に戻ることはなく、現在は南相馬市に転居していることも紹介されました。  

 

 

 

 ③県民大集会は、福島市にある福島県教育会館で開催されました。冒頭、東日本大震災で亡くなった方へ会場全体で黙祷を捧げました。その後、角田政志実行委員長より、「9度目の春を迎え、この集会も8回目を迎えることになった。この集会は3つの指標を掲げて開催をしているが、特に福島第二原発の即時廃炉を県民の総意として取り組みを行ってきた。昨年の集会は被災地楢葉町で開催し、第二原発の廃炉に向けてアピールしてきた。多くの賛同を受け、第二原発の廃炉を求める署名を2年間実施し、44万筆を超える署名を東京電力、及び、経済産業省に提出、即時廃炉を求めてきた。昨年6月に東京電力は、廃炉の方向で検討することを明らかにした。8年間この集会を継続し、訴え続けてきた大きな成果である。しかし、東京電力は、廃炉の時期や工程を示していない。この集会で、東京電力に早期に福島第二原発の廃炉を強く求める。被災地の復興は進んでいるとは言え、住民の帰還にはまだまだ多くの課題がある。8年が経過したが、過酷な状況と、国の原子力政策の推進により意識の風化が進んでいる。現状と課題を多くの人と共有することで、訴える力は大きくなると考えている。これからも福島の現状を知ってもらう集会を続けたい。福島の現状・努力を受け止め、広めていただきたい。再びこのような原発事故を起こさせないよう、原発のない社会を作っていこう」等、福島第二原発廃炉に向けた運動や、福島の現状報告を含めた挨拶がありました。
 
 
 特別ゲストである香山リカ氏(精神科医)からは、「福島から避難し、東京で生活を送っている人の心の悩みを聞くことがある。また、原発事故で、家族内で意見が相違し、分断してしまったことにより苦しみをいだいている人の声を聞く機会もある。にもかかわらず、あの大震災・原発事故から8年が経過した今、国はあの事故は終わったこと、なかったことにしようとしているように思える」等、いまなお苦しんでいる人々がいる現状や日本政府の対応について訴えられました。若者代表(福島県選出の高校生平和大使)からは、「核の平和利用はできない」等の発言がありました。
 

 

 ④分散会では、各グループで、講演や県民大集会に参加しての感想を共有したうえで、全労金のこの間の南相馬ボランティアや福島応援セットの取り組みを通じての福島県の印象と集会に参加してからの印象について意見交換しました。その後、福島第一原発事故に関わる放射線被害や各地で発生している自然災害を踏まえ、全労金・単組・自身の取り組みについて意見交換し、最後に各グループから分散会の意見交換内容を発表しました。
 
 
 ⑤3月17日(日)、県民大集会実行委員会が主催するフィールドワークに、一般参加者とともに参加し、帰還困難区域の様子や、地震・津 波・原発被災の現状を視察しました。具体的には、福島県教職員組合双葉支部の書記局が入っていた双葉教育会館周辺を徒歩で視察し、帰還困難区域との境目であり通行制限中の看板の目の前で当時の状況の説明を受けました。福島県教組双葉支部の書記局は当時のままであり、日教組(日本教職員組合)のスローガンである「教え子を再び戦場へ送るな」の看板も傾いた状態で何も手が付けられていないことが紹介されました。「帰還困難区域」は、震災以降誰も足を踏み入れることはなく、手つかずの状態のままであり、以前は水田だった土地も人間の身長を遙かに超える草木に覆われていました。また、津波被害が甚大であった請戸漁港では、漁業者である高野武氏より当時の状況の説明を受け、参加者全体で約5キロ先にある福島第一原発を眺めました。
 
 
末留委員長挨拶
 
東北労組・松﨑委員長挨拶
 
東北労組・関本福島県支部委員長挨拶
 
北海道労組・奥井委員長
 
東北労組・佐藤執行委員
 
中央労組・佐藤統括執行委員
 
新潟労組・小堺執行委員
 
長野労組・下手執行委員
 
静岡労組・内山副青年委員長
 
北陸労組・幸田副委員長
 
東海労組・徳田執行委員
 
近畿労組・大八木京都支部書記長
 
中国労組・牧青年委員会事務局長
 
四国労組・髙橋徳島県支部副支部長
 
九州労組・穴井執行委員
 
沖縄労組・波平執行委員
 
セントラル労組・佐々木執行委員
 
東北労組・半澤書記次長 
 
東北労組・藤原福島県支部副委員長
 
開会集会の様子
 
講演・柴口正武氏
 
講演の様子
 
県民大集会の様子
 
県民大集会の様子
 
県民大集会でのパネル展示
 
県民大集会でのパネル展示
 
県民大集会でのパネル展示
 
分散会の様子
 
分散会の様子
 
フィールドワーク バス車内での線量計
 
帰還困難区域前の様子
 
帰還困難区域前での説明
 
双葉教育会館
 
双葉教育会館
 
双葉教育会館前での様子
 
富岡第二中学校前での説明
 
バス車内での線量計
 
請戸漁港
 
請戸漁港より福島第一原発眺望
 

県民大集会 集会アピール

県民大集会 集会アピール
 
集会アピール
( 2019-03-19 ・ 402KB )
 

「ぼくたちの力で浪江町を発信」 

「ぼくたちの力で浪江町を発信」 
 

 講演の中で、柴口氏より報告のあった浪江中学校での総合学習等について紹介します。

 以下の文章は、「福島県教育新聞」の中で、「福島からの発信・活動等支援基金」支援による教育実践として報告されていたものです。

 

 

 「ぼくたちの力で浪江町を発信」 
~二本松の針道校舎から浪江町に思いを寄せて~ (浪江中学校3年)
 
 浪江中学校では、双葉郡全体で取り組んでいる「ふるさと創造学」に関連させて、「ふるさと浪江」を大テーマにして、総合学習を進めています。
 今年度の3学年では、今年度限りで休校になることから、自分たちが二本松の針道校舎で学んだ足跡を残したいということになりました。そこで、「浪江町のよさ」を「絵」に描いて、それを役場に展示してもらい、町民や県内外の方に見てもらうということになりました。それに加えて、ARの技術を使って、自分たちが作成した「説明」のスライド動画も見ることができるようにしました。
※ AR:「拡張現実感(Augmented Reality)」の略。カメラで撮影した現実の映像に文字や画像などの情報を重ねて表示するもの。
 当初は、15の「浪江町のよさ」を発信する予定でしたが、時間的なこともあり「大聖寺」「カモメ」「コスモス」「浪江駅」「サンプラザ」「請戸川リバーライン」「請戸漁港」「大堀相馬焼」までしかできませんでした。完成しなかった「サケ」「日山」「十日市」「安波祭」「津島三匹獅子」「まち・なみ・まるしぇ」「なみえ焼きそば」については、できれば今年度開校した「なみえ創成」に引き継いでいければと思っています。作成した絵は浪江町役場にすでに展示してもらっています。絵をもとにして作成したポストカードは、今後県内外に配付する予定です。
 
 この活動を進めるには、IT会社との契約、ポストカードの印刷代等、それなりの経費が必要でした。その費用については、公益財団法人日本教育公務員弘済会と福島県教職員組合による「福島からの発信・活動等支援基金」を活用させていただきました。ありがとうございました。
 
 ※右下のQRコードをスマホかタブレットで読み取るか、検索をし、「COCOAR2」というアプリをダウンロードをしてインストールしてください。起動し、メッセージにしたがって、それぞれの絵をスキャンすると、その絵について説明するスライド動画を見ることができます。
 

ポストカード

ポストカード
 
大聖寺
 
カモメ
 
コスモス
 
浪江駅
 
サンプラザ
 
請戸川リバーライン
 
請戸漁港
 
大堀相馬焼
 

実践に託した思い

実践に託した思い
 
浪江中教諭 柴口 正武
 浪江中学校が休校になりそうだということを知ったのが昨年度末。今年度始めに、子どもたちに「自分たちの足跡を残そう」と、なげかけたことから始まり、広がった活動でした。
 浪江中は、二本松市針道地区の閉校となった旧針道小学校の校舎で2011年8月に再開しました。今年度までの8年間で、今年度卒を含めて96人の子どもたちが針道校舎の浪江中を卒業しました。本来過ごすはずだった浪江町から30km離れたこの針道校舎で、浪江中の子どもたちの生活、歩みは、確かに進んでいました。
 その8年間の浪江中の歩みを、原発政策の中で「なかったこと」にだけはしたくありませんでした。同じ思いで、双葉支部で「教材ふたば」の取り組みを進めようとしましたが、なかなか組織的な取り組みにまでは至っていません。それでも、各学校が、各個人が、震災や原発事故に対する授業や活動を展開してきました。
 浪江町には新しい学校ができました。その学校が大々的に取り上げられて、諸行事が報道で扱われていく陰で、休校に向かう浪江中学校への関心は低くなっていくのを感じました。しかし、休校が決まっていても、たった4人の少ない人数であっても、そこには豊かな学びが存在していており、この8年間も存在してきました。その豊かな学びは、針道校舎で生活した96人の子どもたちと、そこに寄り添った教職員が築いてきたものです。
 休校を迎える今だからこそ、「絵」を町内に残し、浪江町を発信すると同時に「子どもたちの学び」も発信して、県内外に「浪江中学校 針道校舎」を残したかったのです。それは「原発事故をなかったことにはさせない」ための具体的な実践であるとも思います。教育活動ながらも、今回の「僕たちの力で浪江町を発信」の活動は、「原発事故がなかったことにはさせない」という思いに加えて、浪江町を離れたままで中学校を卒業していく、または卒業した子どもたちの姿を残していきたいという願いも込められています。
 
 今回の活動では、浪江町でのフィールドワークを行い、町民へのインタビュー等もし、復興の様子を感じることもできました。しかし、フィールドワークを行った子どもたちは、今後も中通りに住み続けます。取り残される避難者の姿と子どもたちの姿がだぶって映ります。
 

浪江町の状況 

浪江町の状況 
 
 浪江町は震災後、二本松市の旧下川崎小学校に浪江小学校と津島小学校、旧針道小学校に浪江中学校を再開し、授業を行っている。他の小中学校は現在まで臨時休校となっている。今年度、新設校としてなみえ創成小学校となみえ創成中学校が、浪江町内の元浪江東中学校の校舎を利用して開校した。なみえ創成小・中ともに、子どもの数は少ない中での開校であった。
 浪江町の2つの中学校の教職員は、5つの教科の教員が二本松と浪江を行き来しながら授業を行っている。浪江と二本松の距離は40kmもあり、南相馬市から通勤している人は二本松まで60㎞もの遠距離となる。中学校の教員だけでは足りず、なみえ創成小学校の教員が、なみえ創成中学校の英語と音楽を担当している状況である。
 二本松市の浪江中学校は、2019年度、休校となる。
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